山でメガネ忘れた
山の急な坂道の階段を黙々と登っていた私に、坂を急ぎ足で下りて来た人が息を切らして「メガネを忘れた」と言っている、なんのことか分らなかった。階段の下は程よい休憩所になっているが、そこで休んでいる時にメガネを木に掛け服を着替えたらしい、だから木に掛かっているはずだ「見なかったか」と言う。
休憩所のベンチには何も無かったはずだけど、木にメガネが掛かっているとは思わない「無かったですよ」とは言えない「アアー、あればいいですね」と見送るしかない「あればいいんだがなー」と早足で階段を下っていった。
聞けば休憩所から急な階段を100段位登り、ひと山越えた所でメガネを忘れた事に気が付いたと言う。近視と乱視の入ったメガネと言うから、歩いている間に普通は気が付くと思うけど、山の中ってメガネが無くても困らない程、見るものもあるし、考え事をしていても気持ちがいいからメガネを忘れていても無理はない。
第一この休憩所には、時々メガネを忘れて行く人が居る。顔を拭いたりして、ひと休みするのに丁度いい場所だから、案内板に忘れたメガネが3~4回掛かっているのを見たことがあった。いつの間にか無いところを見れば、持ち主に戻ったのだなーと思っていた。
私が階段を登り、ひと山越えてまた山に登ろうとしていた時、メガネを掛けてニコニコした人が近づいて来た「アーよかったですね」というと「アアーよかった」と言って嬉しそうに「皆んな親切でねー・・探してくれたんだ」と言う。私一人では探せなかったよ、強い近視と乱視が入っているから、木に掛かっていても見えなかったと言うのだ。
ソソ、そんなに見えなくて、メガネなしでひと山越えて気が付くとは、山っていうのは木の精達が道案内してくれるんだなーと思う。「アアー、よかった、よかった」と言いながら足取りも軽くスタスタと消えて行った。
私は何を見たんだろーか、確かにニコニコしたヤヤじいちゃんだったけど、あの軽がるとした足の運び、顔にはシワもなくよく見ればリュックも背負っていない。あれは一体、誰だったんだろー、山の木の精だったのかなー。
トラックバック(0)
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 山でメガネ忘れた
このブログ記事に対するトラックバックURL:

コメントする